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調剤薬局の新規開業|失敗しないためのポイントとは

薬局を開業するためには、一般の小売業と比較して厳しい要件をクリアしなければなりません。

ここでは、調剤薬局の新規開業を行う際に注意すべきポイントなどについて解説します。

 

■薬局開設許可申請
調剤薬局の開業には、「薬局開設許可」が必要です。調剤薬局開設の申請をするためには、構造設備基準や人的要件を満たさなければなりません。

開設許可申請は、管轄の保健所に必要書類を提出して行います。

 

●構造設備基準
都道府県や、取り扱う医薬品等によって基準が異なる場合があるため、事前に管轄部署に確認するなどを行いましょう。

法令(薬局等構造設備規則)に基づく基準としては、一般的に以下の通りです。

 

1.換気が十分で、清潔であること
2.居住場所や不潔な場所等から明確に区別されていること
3.店舗面積は約19.8平方メートル(約6畳)以上で、薬局業務を適切に行えること
4.医薬品を陳列・交付する場所は60ルクス(照度の単位)以上、調剤台の上は120ルクス以上の明るさを有すること
5.調剤室は6.6平方メートル(約2坪)以上の面積で、天井と床の材質が板張りや、コンクリートなどであること
6.冷暗貯蔵のための設備があること
7.鍵のかかる貯蔵設備があること
8.調剤に必要な設備や器具(液量器、温度計、調剤台、ビーカー、薬匙、漏斗・漏斗台など)を備えていること

 

●人的要件
必要な人員については、薬局は当然薬剤師の常駐が必須です。これも1日当たりの応需処方せん枚数によって決まっています。

省令によれば、薬局における1日平均の取り扱い処方せんが40枚までなら薬剤師1人、41~80枚以下なら2人・・・というように、1日40枚あたり1人の薬剤師を置く必要があります(いわゆる「40枚規制」)。

また、薬局は業務の責任を負う管理薬剤師を店舗ごとに配置することになっています。

開業申請を行う際、申請者(法人の場合は役員も)が欠格事由に該当しないことも必要です。例えば、過去に許可の取り消しを受けている場合や、禁錮以上の前科があり、刑の執行終了から3年経過していない場合、麻薬取締法などの薬事法例に違反し、その違反行為があった日から2年経過していない場合などは、欠格事由に該当します。

 


■保険薬局指定申請
調剤薬局の中でも「保険薬局」だと、保険処方せんを取り扱うことができます(健康保険の適用を受け、病院や診療所等の医療機関の処方せんに基づき調剤できる)。一般的に薬局は、健康保険法が定める医療保険制度の下で調剤を行うため、日本に存在する薬局のほとんどすべては「保険薬局」です。

保険薬局指定申請は、管轄の厚生局で行います。薬局開設許可証が届き次第、申請書等の必要書類を提出しましょう。

 


■その他の申請
例えば、薬局製剤を製造販売する場合は、薬局製剤製造業や製造業の許可、品目ごとの承認または届出が必要になります。

また、麻薬等を取り扱う場合は「麻薬小売業者免許申請」、毒物や劇物を販売する場合は「毒物劇物販売業登録」が必要になります。

 


■失敗しないためのポイント
このように薬局開設にはさまざまな申請を行わなければなりません。申請に必要な書類等は、薬局法務などに精通した弁護士等の専門家に相談するなどして準備していきましょう。

近年は医療分業が進行し、大手ドラッグストアや総合商社等が調剤分野に進出するなど、薬局業界の競争が激化しています。経営を成り立たせていくためには、地域の顧客とのコミュニケーションを密接に図るなどして顧客の満足度を高め、地域に根付いた「かかりつけ薬局」を目指すことが重要でしょう。

そのためには、商圏内の競合他社や患者層をリサーチ・分析して、獲得できる処方せんの枚数をベースに、開業に必要な物件・設備・人件費等を調達することです。処方せん枚数を増やすためには、独立予定の医師の情報を獲得する、医療機関・老人保健施設等に働きかけて情報収集を行うなどの取り組みが必要でしょう。また、地域のイベントに参加したり、LINE公式アカウントを作成したりして、地域住民からの知名度を上げることも大切です。

 

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奥田敦弁護士
弁護士
薬剤師
奥田 敦

MLIP経営法律事務所(〒105-0004 東京都港区新橋2-2-3 ル・グラシエルBLDG28-5階)

  • 所属団体
    第一東京弁護士会(53859)
  • 経歴

    大学卒業後、薬剤師資格を取得し、大手製薬会社に入社。

    その後弁護士となり、MLIP経営法律事務所にて執務。

    一般社団法人日本健康寿命延伸協会・理事

     

    薬剤師・医療経営士2級

宮山雅光弁護士
弁護士
公認会計士試験合格者
宮山 雅光

三上宮山法律事務所(〒260-0033 千葉県千葉市中央区春日2-2-7 サバビル3階)

  • 所属団体
    千葉県弁護士会(52922)
  • 経歴

    中央大学商学部経営学科卒業。

    慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。

    司法試験予備試験合格。

    公認会計士試験合格者。通知税理士合格者。

    都内大手法律事務所に所属後、地元千葉にて事務所開設。

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